職業紹介や、労働者派遣事業の許可の更新手続きにおいては、合意された手続きと、その手続きを基にして作成された合意された手続き実施報告書が必要になることがあります。
まずは合意された手続きが必要になる場面について簡単に説明します。
労働者派遣事業の許可を更新する場合の資産要件
- 基準資産額:2,000万円以上
- 現金預金額:1,500万円以上
- 基準資産額が負債総額の1/7以上
職業紹介事業の許可を更新する場合の資産要件
- 基準資産額:350万円以上
(更新のときには資産要件を満たしている必要があるのですが)人材派遣業や人材紹介業の許可更新の際に、上の資産要件を満たしているかどうか確認するために、合意された手続きが必要になることがあります。
また、合意された手続きを実施する前提として、次の2点は抑えておきたいところです。
・合意された手続きは、職業紹介・労働者派遣事業の許可更新時に必要になることがある。
・合意された手続きは、職業紹介・労働者派遣事業の新規申請の場合に実施されることはない。
合意された手続き(AUP)とは?
職業紹介・労働者派遣事業の許可更新で必要になる合意された手続きについて説明します。
合意された手続きとは、簡単に説明すると、公認会計士等が依頼者(会社側)との間での合意された手続きに基づいて、月次決算書をチェックする作業のことです。
合意された手続きば、公認会計士が実施します。
合意された手続きにおいては、例えば、次のようなことが実施されます。
・直前の年度決算書の貸借対照表に計上された勘定科目の金額について、総勘定元帳や税務申告資料と照合し、さらに、月次決算書の貸借対照表に計上された勘定科目の金額について、帳簿と照合する(金額が一致しているか確認する)。
・年度決算書日後、月次決算までの期間内で発生した資産の増加や負債の減少に着目して、関連する帳簿や証憑(領収書など)を確認し、資産の過大計上または負債の過小計上がないかを確かめる。
また合意された手続きでは、次のようなケースも想定されます。
依頼者である会社側と公認会計士が、月次決算書が正しいかどうか確認するための手続きとして、以下のような手続きを実施することに合意した。
・預金残高を確認して、帳簿上の預金残高と一致しているかを確認する。
・売掛金の入金状況を確認する。
売掛金の相手先に対して実際の売掛金残高はどれくらいかを確認し、帳簿残高と一致しているかを確かめる。
合意された手続きは、イメージ的には概ねこのようになります。
合意された手続きから更新手続きまでの流れ
合意された手続きから、更新申請までの流れは次のようになります。
1.まずは会社側で月次決算書等を作成する。
2.公認会計士に合意された手続きを依頼する。
3.公認会計士が合意された手続きを実施する。
4.公認会計士による手続き実施後、会社側は「合意された手続実施結果報告書」を受け取る。
5.職業紹介・労働者派遣事業の許可更新を申請する。
以上が、職業紹介・労働者派遣事業の許可更新の際における合意された手続きのフローと許可申請の一連の流れです。