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人材紹介・派遣業の監査で会社が事前に知っておくべき5つの注意点

人材紹介業(労働者紹介業)や人材派遣業(労働者派遣業)を実施するには、その前提として、厚生労働省の許可がが必要になります。

※ いったん許可を得た後は、定期的な更新が必要になります。

厚生労働省が人材紹介業の許可を出すには、公認会計士や監査法人による監査証明が必要になることがあります。

どのようなときに公認会計士等による監査証明が必要になるかいついては、リンク先で確認可能です。

人材派遣・人材紹介業を開始する場合の監査証明発行の要件

今回は、人材紹介業(労働者紹介業)や人材派遣業(労働者派遣業)に関する監査について、会社側の誤解が多い点や、経営者からの質問が多い事項、勘違いがある点などについてまとめました。

人材紹介・人材派遣業の許可申請前に会社が知っておくべき注意点

上でお伝えしたリンク先に記載があるように、人材紹介や人材派遣の許可申請の際に必ずしも監査証明が必要なわけではありません。

ただ、実際に労働局に許可を申請した際に、当局から「財務諸表に監査証明が添付されていない」として差し戻されるケースも発生しています。

そうした場合には、公認会計士や監査法人による監査証明の添付が必要になります。※

※ ただ実際には、監査法人に依頼するケースは稀だと考えられます。理由は、業務内容的に監査法人が受任するような複雑な案件は少ないと考えられるからです。監査法人ではなく、公認会計士(公認会計士事務所)に依頼するケースがほとんどだと思います。

会社側が公認会計士に依頼する際に、誤解の多い点、理解不足の点、質問等が多い点については以下5つの点です。

1.人材紹介等の許可申請では全ての勘定科目が監査対象となる

人材紹介や人材派遣の許可申請の際には、「基準資産額:2,000万円以上や現金預金額:1,500万円以上」などの資産要件があることは既にご存知の通りです。

会社側に多い誤解は、資産要件として掲げられている「基準資産額:2,000万円以上や現金預金額:1,500万」などの金額だけが(2,000万円や1,500万円)監査の対象になるという点です。

しかし、実際に監査対象になるのは、2,000万円や1,500万円といった金額だけではなく、「原則として」貸借対照表や損益計算書に計上されてる全ての勘定科目が監査対象になります。

この点は、誤解のないようにしましょう。

2.人材紹介等の監査では帳簿の提出は必須

人材紹介等の監査では、会社の帳簿は必ずご提出して頂きます。人材紹介等の監査業務では、この帳簿の内容を確認することが監査の出発点となります。

人材紹介等の監査についてご相談頂くなかには、「帳簿はない」だったり「帳簿を紛失した」などとおっしゃる会社もありますが、こうした場合には基本的に監査を行うことは難しくなります。

また帳簿以外に、過去数期間分の決算書のご提出も必須です。「直近の決算書だけで良いのでは」とお考えの経営者もいらっしゃいますが、過去2期or3期分の決算書が必要になります。

ただ設立直後の会社の場合には、過去の決算書がありませんので、このときは試算表ベースで監査を実施し、大きな問題がなければ監査証明書を発行します。

3.会計処理に誤りがあったときは原則として修正する必要がある

人材紹介等の監査を実施しているときに、会計処理の誤りが見つかることがあります。

監査の最中に、会計処理の誤りが見つかった際は、会社側の顧問税理士と相談のうえ「原則として」修正して頂くことになります。

但し、会計上の誤りが発見されたとしても、貸借対照表や損益計算書に与える影響が相当小さかったり、人材紹介等で求められている資産要件に与える影響が皆無に近い場合には、修正をしないまま監査証明を発行することもあります。

4.会社の顧問税理士でもある公認会計士は監査はできない

人材紹介等の許可申請の際に、よくある誤解は「公認会計士」であれば誰でも監査ができるのではないかという点です。

しかし、これは完全に間違い。

例えば、会社の顧問税理士をしている公認会計士は、会社側と利害関係があって、公平で公正な監査はできないと考えられているために監査はできないことになっています。

リンク先でどのような人が監査できないかについて詳しく説明しています。

人材紹介・派遣事業の許可申請の際に監査できない人は?

5.監査証明書が発行できないこともある

人材紹介業の監査で、監査を受ければ必ず監査証明を取得できるとお考えの会社もあるかもしれません。

基本的には、監査を受ければ監査証明を取得できる実例の方が圧倒的に多いと感じます。

しかし、人材紹介業の監査では監査証明を発行できないケースも考えられます。

例えば、監査した結果、人材紹介業で求められている資産要件を満たしていなかったときには監査証明を発行できなくなります。

監査した結果、資産要件を満たさなくなる具体例については、リンク先で確認できます。

職業紹介等の許可申請の際に監査証明が発行できない場合とは?

以上、人材紹介等の許可申請の際に、会社側が事前に知っておくべき5つの注意点についてまとめました。

人材紹介業や派遣業の許可の申請に際して、手続きに不備が発覚すると、許可を受けれない結果、事業の開始にも悪影響が生じます。

会社側は、十分な用意をして許可申請することをお勧めします。

人材紹介業の監査で会社が事前に知っておくべき5つの注意点
1.人材紹介等の許可申請では「原則として」全ての勘定科目が監査対象となる
2.人材紹介等の監査では帳簿の提出は必須
3.会計処理に誤りがあったときは原則として修正する必要がある
4.会社の顧問税理士でもある公認会計士は監査はできない
5.監査証明が発行できないことがある

【図解】人材派遣業開始のための許可の申請手続及び必要書類一覧

【図解】人材紹介業開始のための許可の申請手続及び必要書類一覧