新たに人材派遣業(労働者派遣事業)または人材紹介業(職業紹介事業)を始めるときには、次のような資産要件を満たす必要があります。
資産要件とは、会社がその金額以上の資産(例えば、現金預金など)を保有していなければならないということ。資産要件を満たしていなければ、人材派遣業等をすることはできません。
新たに人材派遣事業を開始するときに必要な監査証明発行の要件
法人が新たに人材派遣事業を開始する場合には次のような資産要件を満たす必要があり、要件を満たしていることについて監査証明を受ける必要があります(監査証明を取得する必要があります)。
新規に人材派遣事業を開始する場合の資産要件
- 基準資産額:2,000万円以上(基準資産額とは、資産の総額から負債の総額を控除した額のこと、以下同じ)
- 現金預金額:1,500万円以上
- 基準資産額が負債総額の1/7以上
新たに人材紹介事業を開始するときに必要な監査証明発行の要件
法人が新たに職業紹介事業を開始する場合には次のような要件を満たす必要があり、要件を満たしていることについて監査証明を受ける必要があります。
新たに人材紹介事業を開始する場合の資産要件
- 基準資産額:500万円以上
- 現金預金額:150万円以上
資産要件の具体的あてはめ
ここでは、上でお伝えした人材派遣業を行うときの資産要件について具体的にあてはめて説明します。
※ 資産要件については、基準資産額2,000万円以上、現金預金1,500万以上、基準資産額が負債総額の1/7以上の要件であてはめます。
基準資産額の要件
簡略B/Sの資産の部の合計(2)から負債の部の合計(3)を差し引いた基準資産額は3,100万円あり、2,000万以上ありますので基準資産額の要件を満たしています。
現金預金の要件
現金預金も2,500万円(1)ありますので、現金預金1,500万円以上という現金預金の要件を満たしています。
負債比率の要件
基準資産額は3,100万円でしたので、負債総額の7分の1(800万=5,600万円÷7)以上という要件も満たしています。
ですので、この簡略B/Sは資産要件をすべて満たすことになります。
※ 基準資産額を求めるときには、繰延資産と営業権が資産に計上されている場合に、この2つ(繰延資産と営業権)を資産の総額から除外して基準資産額を求める必要があります。
具体的には、資産の総額から繰延資産と営業権を除いたうえで、負債を差し引き、基準資産額の要件を満たす必要があります。この点は注意しなければなりません。
監査に必要な書類
監査では、例えば、次のような書類に基づいて試算表(貸借対照表や損益計算書)が正しかどうか、資産要件を満たしているかどうかをチェックすることになります。
- 法人税の確定申告書及び科目明細書
- 登記簿謄本
- 総勘定元帳
- 預貯金口座の通帳(または入出金明細)の写し
- 売掛金の請求書控え
- 給与台帳
- 固定資産台帳
- 未払金又は未払費用として計上された取引の「請求書」
- 借入金の返済予定表
公認会計士による監査証明書発行までの流れ
監査証明書発行までの流れは概ね次のようになります。
- Step1
- お問い合わせ
- Step2
- お見積もり
- Step3
- ご依頼
- Step4
- 監査に必要な書類のご準備
- Step5
- 監査業務の実施
- Step6
- 監査証明書の発行
監査証明書は最短即日で発行可能です。
ここまで人材派遣業を開始する際に必要な資産要件を中心に説明しましたが、その他ご不明な点等があればお問い合わせ頂ければ幸いです。